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映画「LUCY/ルーシー」完全 解説 [Movie]

 「テイク・シェルター」以来の「自分なりの解釈」をつい書きたくなる映画「LUCY/ルーシー」の完全解説を試みたものです。

 すでに映画を観終わった方向けの思い切り踏み込んだ詳細解説なので、まだ観ていない方はご注意ください。

*ここからは「もう観た方を対象に」ということで、ストーリー、監督、俳優などについては省略しますね。

*それからこれは、あくまで個人的見解なので、自分と違うからって反論しないでくださいね(笑)
(人それぞれ受け取り方がありますし、ああ、この人はこういう受け取り方をしたのね、ぐらいな感じでお願いします。)

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◆この映画の「設定」について

 監督のリュック・ベッソンは、事前にいろいろと入念に下調べする人のようなので、荒唐無稽に見えても、実は“彼なりのロジックがある”ことを前提にして解釈していくことにします。

 まず、この「映画=フィクション」としての「設定」ですが、新麻薬「CPH4」の一部が体内に漏れ出した影響で「脳が覚醒」し、脳が本来持っている「能力」が「もしも100%発揮したら」という「世界観」ですよね。

 これはあくまで「フィクション映画」としての(脚本としての)「設定」なので、「今回はそういうストーリーを描きたいのね」と認識することにします。

 その「映画の設定」においては、イルカが「自分の脳の20%に、アクセスして能力を発揮しているのに、人間はそれにも劣る、10%しか発揮できていない」と、序盤にエクスキューズがありますね。

 イルカは、20%活用できているから、脳から放出する「超音波」を操ることができると。
 その「イルカのエコロケーション」は、人間が作った、どのソナーシステムよりも高い精度であると。

 よって人間でも、もっと「脳」本来の能力を活用できれば、脳から「超音波を発信」できるかもしれないし、それを操れるだろうし、現状のどんなソナーシステムよりも高精度の計測、操作ができるはずだと。

 この映画中の「ノーマン教授」(という設定)の話では、人がイルカ並みの20%以上の脳を使えれば、「イルカが超音波を自在に扱うように、他の物資に干渉できる可能性がある」としていますね。

<「ノーマン教授」の仮説とルーシーの能力開花の関係>
20%覚醒:身体制御能力が画期的に向上し、痛覚等の感覚を制御・遮断できる。
30%覚醒:エネルギー、電気、電波、電磁波などの流れを感じ、視覚的に捉え、操ることができる。
40%覚醒:他者の肉体をコントロールできる。
50%覚醒:あらゆる物質を(物理的に)自在にコントロールできる。
60%覚醒:エネルギー・重力の制御ができる。
70%覚醒:分子構造の転換による肉体の変形制御や他物質との融合ができる。
80%覚醒:時空間をコントロールする四次元の世界へ突入でき、時間も場所も、自由に移動できる。
100%覚醒:自分を含む物質的なものを開放し、「私はいたるところに存在する」という状態に達する。

◆現在の最新「脳科学」について

 これらはあくまで「映画の設定」なので、現実とはちょっと違うのでしょうが、たいへんおもしろい視点ですね。さすがベッソン監督です。

 現実では「アルツハイマー(認知症)治療」が、医療業界にとってビッグテーマですので、さまざまな研究が盛んに行われ、「脳を活性化する」新薬や「記憶を呼び戻す」方法の研究が、実際に進んでいますね。

*京都大学 大学院 工学研究科の浜地 格教授らは、狙金属錯体(金属や金属イオンが分子の中心に位置する化合物)を導入することで、膜受容体を人工的に活性化することに成功しています。
 「膜タンパク質受容体」は、細胞外の特定の物質を選び結合すると構造が変化し、細胞内に情報を伝え、生理活動に影響を及ぼすという発見に至りました。
(人工的に、選択的に、狙って「脳を活性化できる」ことの証明でもあります。)

*理研-MIT神経回路遺伝学研究センター利根川進 センター長(ノーベル医学生理学賞受賞)らは、「PDGFR-β」が活性化すると、脳神経の再生が促進されることを発見しています。

*富山大大学院医学薬学研究部の山本誠士助教らは、「脳の神経が再生する」際に、たんぱく質「インテグリンα3」と「CXCL12」が重要な役割を果たすことを発見しています。

 また最新の「脳科学」分野では、PET検査やMRI検査による研究によって、脳は「全体を一度に使う」のではなく、「働く部分と休ませる部分」があり、「右脳と左脳、脳の各部位によって司る機能が違う」ということがわかっていますね。

 そして、脳は全体が順番にまんべんなく使われていて、各部分が特化しているわけではなく、右脳のある部位が損傷した場合には、左脳の別の部位が右脳の仕事を分担したり、代行できることもわかっていますね。

◆アインシュタインの「相対性理論」について

 この映画のおもしろさを理解する上で、重力や時空間に関する「アインシュタインの相対性理論」を多少なりとも知らないと、単なる荒唐無稽なつまらない映画になりかねないので(笑)、ざっと復習の意味も込めて、まとめてみます。

<アインシュタインの「相対性理論」>
 「特殊相対性原理と光速不変の原理」により、運動座標系における「電磁気現象」を、簡潔に「静止座標系におけるマックスウェル方程式に帰着させる」理論が「特殊相対性理論」である。

 「特殊相対性原理」により、「磁場は、電場の相対的効果」であり、電気力学と光学(電磁波)に対する法則が、「力学の方程式」が成り立つすべての座標系に対しても成り立つ。

 「一般相対性理論」では、空間は「時空連続体」であり、その「時空連続体」は均質はでなく「歪んだもの」になる。

 つまり、「質量」が「時空間を歪ませる」ことによって、「重力が生じる」と考える。

 よって現代の物理学では、「重力は、一般相対性理論で記述できる」と考える。

 運動座標系における「電磁場理論」により、棒磁石とコイルによる「電磁誘導現象」によって、コイルを固定すると「棒磁石を動かす」ことができる。

 逆に、棒磁石を固定し、コイルを動かすと、そのコイルに流れる電流には、電子に対して「ローレンツ力」が働く。

 電流とは「自由電子の運動である」ので、電磁気学における基本的な電流と磁場の関係は、導線を「測定者に対して静止した座標系」であり、電流を「一定間隔を保ったまま、導線に対してドリフト速度 v で等速直線運動する自由電子群の座標系」とみなすことができ、ニュートン力学でいう「運動エネルギー」となる。

◇アインシュタインのもっとも有名な方程式「E = mc²」について

 質量を持つ物質は、 mc² のエネルギーを持ち、この第一項を「静止エネルギー」と呼ぶ。

 「質量を持たず」に有限のエネルギーを持つ物質は、常に光速で走り続けねばならないため、「光速で移動する」エネルギーを持つ物質は、すべて質量が「0」となる。

 「一般相対性理論」の基本方程式(アインシュタイン方程式)は、静的な「ニュートンの万有引力の法則」を包含しており、万有引力の法則との主な違いは次の3点である。

1.重力は、瞬時に伝わるのではなく光と同じ速さで伝わる。
2.重力から重力が発生する(非線形相互作用)。
3.質量を持つ物体の加速運動により、重力波が放射される。

*「重力波」とは、時空(重力場)のゆらぎが光速で伝播する現象をいう。
*アメリカを中心とした国際研究チーム「LIGO」は、「重力波」の2回の観測に成功(2015年9月と12月)している。
*アインシュタインが100年前に、重力波の存在を予言していたが、ついに「重力波天文学」という新たな学問が誕生し、重力波研究の時代に突入した。

 上記「3.」の「重力波放射」は、荷電粒子が加速運動することによって、電磁波が放射されることと類似する。

 アインシュタイン方程式の左辺は「時空の曲率」を表し、右辺は「物質分布」を表す。

 右辺の「物質分布」の項により、時空が曲率を持ち、その曲率の影響で、次の瞬間の物質分布が定まる、という構造になっている。

 特殊相対性原理により、「エネルギーと質量は等価」であるから、エネルギー運動量の減少は、「質量の減少」を意味する。

 逆に「時空の曲率増加」は、「重力の増大」を表す。

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 ということで、この映画の中で、人が飛ばされたり、浮いたり、ふっとんでいったのは、上記の物理法則によるのねと認識したわけです(笑)

◆ラストへ向かうストーリー展開について

 この映画中の「脳科学者ノーマン博士」は、講演中に「自己が得た情報をどのように(未来へ)つないでいくか」について、その方法を2つ示しました。

 1つは「生存環境が合わないときは不死」を選び、もう1つは「生存環境が合うときは繁殖をする」というもの。

 主人公ルーシーは、CPH4が「妊娠6週の妊婦が胎児に栄養分として作る物質」と知り、このままだと薬が引き起こす急速な細胞分裂で死ぬことを悟り、「私は24時間以内に死ぬ」と言います。

 つまり、「生存環境が合わない」ために(「繁殖」ではなく)「不死」を選ぶことになり、映画のラストで、端末に表示される「I am everywhere(私はどこにでもいる)」というメッセージが、それを示します。

 自分を含む物質的なもの(肉体)から開放し、意識が「すべての物質と同化した状態」=「不死の存在」になったことを示唆します。

*その前段の伏線として、フランスへ行く飛行機内で、ルーシーの身体が崩れかけるシーンのバックに「ノーマン博士」の不死に関する見解が流れるシーンがありました。

 ルーシーは、CPH4によって脳が覚醒し、宇宙空間の発生、生命の誕生といったすべての事象を知るに至ります。

 どうすれば良いかわからないルーシーがノーマン教授とのテレビ電話で、「その知識を伝えよ、それが生物の生きる意味である」と諭され、死ぬ前に研究室にやってきます。

 最後の残り3つのCPH4をすべて摂取すると、脳が100%覚醒となり、口から光エネルギーを発射し、肉体が崩壊して液状になり、研究室のスーパーコンピューターと融合し、究極のスーパーバイオコンピューターに進化します。

 ルーシーの「意識」は、時空を超え、ニューヨークへ飛び、過去の時空の「全情報を網羅」していきます。

 自由に時空を移動し、恐竜の時代まで遡り、人類の時代まで戻り、「人類最初の女性」とされるアウストラロピテクスのルーシーとルーシーが出会います。

*そうか、それで映画のタイトルが「Lucy」なのかと、やられました(笑)

 Lucyは、100%覚醒した脳の意識で、ありったけの「知」を獲得し、「得たもの」を象徴的なデータとして「ノーマン教授」に手渡します。

 ルーシーは「どこにでも存在する」ので、USBメモリのような媒体は、あくまで物質化(可視化)した「象徴的」なものに過ぎないのでしょう。

 ここで、深い哲学的テーマが提示されます。

「ルーシーの得た知識を、人類は使いこなすに値する存在だろうか?」

 深いですね、凄い映画です。


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